“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「知り合いに国家錬金術師がいる。今から、この美容クリームを見せに行こうと思うのだが」

「今からって、お約束をしていたのですか?」

「していないが、だいたい地下研究室にいると話していた」

手紙を送っても、気づかないことが多いらしい。そのため、直接訪問することが、もっとも手っ取り早い面会方法なのだとか。

「この美容クリームは、一度成分を調べてもらったほうがいいだろう」

「でしたら、私が作ったローレル石鹸も問題ないか、調べていただくことは可能ですか?」

「エリーが作った石鹸、というのは?」

「こちらです」

エプロンドレスのポケットから、ローレル石鹸を取り出す。

「アリアンヌお嬢様の肌質改善を目的とした石鹸なのですが」

「どこで、石鹸の作り方を覚えた?」

鋭い質問をしてくれる。アリアンヌお嬢様にも聞かれるかもしれないので、説明は必要だろう。だからといって、正直に前世の記憶であると言えるわけがない。すぐさま、正気か否か疑われてしまうだろう。

「作り方は、子どもの時に本で読んだ記憶があって」

「そうか」

以降、ミシェル様は深く突っ込まずにいてくれた。

「エリー、よかったら、一緒に来ないか?」

「え、いいのですか?」

「国家錬金術師のソール・ジルヴィーは癖のある人物であるが、それでも構わないのならば」

「はい。ぜひとも、ご一緒させていただきたいなと」

石鹸の安全性を保障してくれるのならば、これ以上にありがたいことはない。遠慮なく、会わせてもらうことにした。

そんなわけで、私は再び馬車で王都に向かうこととなる。
< 74 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop