“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
それは、私が誰かを亡くした気持ちがわかっていたからだろう。残念なことに、誰を亡くして悲しかったかは思い出せないけれど。大切な誰かを亡くして、胸にぽっかりと穴が開いた時の気持ちは、よくわかる。そういう時、どうしてほしいかも。

「妖精か精霊でないか、という評価は見当違いですよ」

「なぜ?」

いや、なぜと聞かれましても。至って真面目な表情を崩さないので、冗談で言っているのではないのだろう。

ひと通り笑ったあと、ふと思い出す。そういえば、前世でも上司や部下から「菩薩のようだ」と言われたことがあった。私のどこに菩薩要素が、と疑問しかないが。

たぶん、いきなり休んだ日との代わりに出勤したり、残業も進んでしていたりからだろう。筋金入りのバス用品と化粧品大好き人間だったので、仕事がまったく苦ではなかったのだ。

脳内ではああじゃない、こうじゃないと考えているけれど、発言するのはほんの一部だけ。だから、自覚している自分のイメージと、周囲の自分に対するイメージが遠く離れているのかもしれない。
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