ビター・シュガー
ペシペシ腕の辺りを叩かれて、思わず俺はその手を掴む。
そして、ほんの少しだけ力を込めて自分の方に引き寄せる。
その一連の行為に、彼女は全く危機感のない声を出した。

「…淳史さん?」

「………なんでもねぇよ」

やっぱり男として相手にされてないんだなろということに、なんとなく落胆しつつも、それは仕方ががないかとまた苦笑した。


人の内部を変えようとしても、それはそうそう簡単には行くわけが無くて…。


兄貴的存在から、結局抜け出せなかったんだろうななんて、半ば自棄になってしまった。

「んじゃ…明日でどーよ?」

「ドライブ?」

間近できょとんとする彼女のおでこを、ぴんっと指で軽く弾く。
少しだけ不機嫌そうに口を尖らす。

「それ以外何があんの?」

「痛っ…て、ほんとに!?…わーい!やった!やった!」

「ったく。…まぁ、いいや。おめかししとけよ?」

「はーい!それじゃ、淳史さん!おやすみなさい!」

さらさらと揺れる髪。
その一房をこの指に絡められたら…。
でも、それは……今は出来ない。



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