きっと、ずっと
「違うよ」


「.......へ?」



突然の昴さんの否定の言葉にあたしは首をかしげる。



「まぁ、小学生の時の記憶なんて、曖昧だと思うけど。俺は泉ちゃんのクラスは持ってない」


「.......え?」



たしかにあたしのクラスに平ちゃんがいたはずなのに。どうして彼はこんなことを言うのだろう。



「俺は泉ちゃんの隣のクラスを担当していて、泉ちゃんのクラスには遠藤ってやつが担当になったんだよ」


「えぇ.......」



あたしの記憶では、6年生のときに教育実習生がきたのは、平ちゃんだった記憶になっているのに、実際はその遠藤とかいう人だと言う。



「その様子だと本当に遠藤のことはおぼえてないんだね」


「はい.......なんかすごく失礼なことをしているような」


「まぁ、仕方ないでしょ。泉ちゃんにとって、クラスに入った遠藤よりも放課後に毎日、一緒に水やりしていた俺の方が記憶に残ってるってことだよね」


「あ.......っ!」



昴さんの言葉に蘇る、ふたりで毎日水やりをしていた花壇。

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