愛のかたち
俊くんはわたしにメットを渡しながら

『バイト決まったんなら言おうぜー、まじ・・。』


って呆れ顔。


『ごめんね。』

そう言ってわたしはメットをかぶり、俊くんの後ろに乗りよりそった。

あったかい。


俊くんはすぐにバイクを出発させて家に着いた。


家の前に着くとバイトの話を聞きたそうだった。


『どんな仕事?どんな人がいる?何時まで?』


あまりに質問攻めだし、外で話すと寒いからわたしは家に入れることにした。


俊くんを家に招くのは初めて。

それどころか・・・わたしは俊くんと付き合ってることを理沙ちゃんや知香ちゃんに話してない。


理沙ちゃんはあの事件で俊くんに嫌悪感を抱いてるから・・・。


でもいつかは話さなきゃいけないことだし、今日2人の機嫌がいいのを祈って玄関を開けた。

いつものように玄関の鍵は開いている。


『ただいま~。』


玄関に入ると大声で笑っている理沙ちゃんと知香ちゃんと純くんの声。

そして大きい音量のお笑いのDVD。


わたしはガチャッとリビングのドアを開けてまた、ただいま。と言った。


3人は笑いすぎで涙目で振り返り、おかえり。と言った。


『ちょっと咲貴~、ちょーおもしろい!!この芸人!!』


それは今流行りの芸人がいっぱい出ているDVDだった。


またテレビを見出した3人。

『あの・・ちょっと・・・。』


そう言って俊くんを呼んだ。


『お邪魔します。』


俊くんがリビングに顔を出した瞬間、理沙ちゃんが微妙な顔つきをしていた。
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