愛のかたち
『咲貴~、そのかっこいい彼は??』


ニヤけながら知香ちゃんが聞く。

知香ちゃんは俊くんが初めてだからわからないよね。


『今、付き合ってる人。尾上俊くん。』


すると理沙ちゃんは真顔でDVDを止めた。

こわい・・・。

絶対何か言う気だ・・・。



『あんた、あのときいた人よね?咲貴をケガさせた人じゃなかった??』


理沙ちゃん、大きく誤解してるし。


『はい。あの時はすみませんでした。俺のせいで・・・。』


『理沙ちゃん、わたし俊くんに殴られたんじゃないんだよ??わかってるよね??』


俊くんがまた誤解を招きそうな言い方をしたので一応聞いてみた。

知香ちゃんは知香ちゃんでポカーンとしていた。

たぶん、何の話かまだわかってないんだろう。


『彼が殴ったんじゃないの??え??あんた誰に殴られたわけ??』


理沙ちゃん、意味がわかってないけど、その誤解を解くのがめんどくさくなってきた・・・。


『理沙、お前何聞いてたんだよ。咲貴ちゃんは彼を助けに行ったら彼のケンカ相手に殴られたって言ってたじゃん。お前短気すぎて頭に血のぼってたんだろ。』


さすが純くん。

落ち着いて、そして呆れるように理沙ちゃんに言った。


『な~んだ。尾上くんが殴ったんだとばかり思ってたよ。尾上くん、咲貴をよろしくね。』


さっきの怖い表情とは違い、ニコやかに理沙ちゃんは言った。


『咲貴~、あんたイケメンとばっかり付き合って・・・』


彼氏のいない知香ちゃんの表情が次はこわかった。


まだまだ絡まれそうだと悟ってわたしは後ろにいた俊くんの胸を押して部屋に案内した。


階段で笑いながら


『えらい綺麗よね、お姉さんも。しかもおもしろいし。』


とククッと笑っていた・・・。
< 227 / 386 >

この作品をシェア

pagetop