愛のかたち
『村松さん、原口さんのこと好きなんですか??』


素朴な疑問じゃない、確信付いて聞いてみた。

こういうのはだいたいわかってしまう。


『そうなの。今がチャンスなのよ。この前までバイト先の高校生なんかと付き合ってたらしいのよ。騙されて痛い目に遭ったって噂だけど許せないわー。その子知ってる??』


最初は照れながら、後半は怒りながら村松さんは言うがわたしはクラッと眩暈がしてきそうだった。

騙されて痛い目に遭った・・・。

いや、そんなことはない・・はず。

いやそんなことはないよ。

騙してなんてないもん。


わたしは孝浩くんが好きだったもん。

でも・・・その元カノがわたしっていうことは・・・バレたくないかも・・・。

でも・・・高校生って俊くんとわたししかいなかったじゃん。


『あの、それ嘘ですよ。絶対騙したりとかしてないし。』


『知ってるの??どんな子なの!?わたしはうちのサークルの孝浩の同じ歳の女の子から騙されて脅されて最後は侮辱されて捨てられたって聞いたけど。その高校生、学祭に来てたらしいけどちょうど見てなかったのよー。見たかったー。』


ヤバイ。

そのうち絶対バレる気しかしないよ・・。

今のうちに言うべき??

いや、噂があまりにも違うけど言っても信じてくれなさそう。

今はヤバいな。


手に汗握りながらわたしは

『その子は・・・他にも好きな人がいたけど原口さんのこともすごく好きだったみたいですよ。脅されて侮辱は絶対になかったです。』


自分のことだし、褒めることができないよーーー!!!

『そうなの??まぁわたしが聞いたのは噂だったから新垣さんのほうが正しそうよね。ねぇ、今度一緒にビデオ屋さん行かない??わたし・・・実は孝浩とそんなに話しすることできなくって・・・。わたし外見に自信ないし、孝浩の周りにはいつも綺麗な子がいるし。新垣さんと友達って言えばキッカケになる気がするの。お願い!!!』



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