愛のかたち
わたしたちは近くの24時間営業のファミレスへ歩き始めた。

徒歩5分の道だけど、何を話したらいいのか迷っていた。


わたしは恵介くんとはほとんど2人で喋ったことがなくていつも誰かが近くにいたからこんな夜10時過ぎに2人ということに少し緊張した。

でもそんな不安は恵介くんが一方的に話をふってくれたおかげで解消された。

『まさかあそこでバイトしてるとは思わなかったよ。』

恵介くんはやっぱりレジでわたしに気付いていたらしい。

『彼女じゃないの?あの子。大丈夫?』

ギャルの人のことをわたしは言った。



『彼女なわけないじゃん。俺、綺麗な子が好きだもん。咲貴ちゃんみたいな。』



なにコイツ。軽っ!!あんなイチャついてたくせに・・。



そう思ったが口ではそんなことないし。とだけ言った。




ファミレスに着くと恵介くんは案内されるのも待たずに窓側の喫煙席へ進み、すぐにタバコに火をつけた。

吐き出されたタバコの煙が上へあがり、空気になじむ。


『咲貴ちゃんってタバコ吸いそうだけど吸わないよね。』

それはどういう意味だよ・・・。

わたしはタバコが嫌い。

匂いはキツイし服に残るし、体にもよくないしかっこいいとも思わない。

なぜみんな吸うのか理解に苦しんでいた。

そして恵介くんは酔ってるのか素面なのかわからないが1人で喋り始めた。

『友美ってさ、俺のことモロ狙ってたでしょ?俺ブリッコ系だめでさー。まだギャルがましだね。』

この言葉にわたしはキレそうになった。

友達のことを悪く言われるのほど嫌なことはない。

今度言ったら・・キレるぞ??


『でも俺、咲貴ちゃんとは仲良くなりたかったんだよね。あ、番号とか教えてよ。』



そう言って恵介くんは灰皿にタバコを押し付けて消し、ポケットから携帯を取り出した。

そして赤外線送信の構えをした。

わたしはあんまり教えたくなかったがここにきて嫌。というほど強くはないのでしょうがなく真顔で番号とかを赤外線で送信した。
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