愛のかたち

1.花火

会場の近くの駐車場はどこも満車だったのでちょっと遠くに止めて歩いて近くまで行くことにした。


見える景色は人、人、人。

浴衣、甚平、色々な色があった。


今日のことが沢村さんの耳にでも入ろうものならわたしは殺されるかもしれないと流れていく景色を見ながら思っていた。

でも・・・原口さんと今歩いているなんて信じられない!!!


『新垣ちゃん、何か食べる?俺なんか買うけど。』

屋台が見え始めたくらいに原口さんが言った。

『じゃあお任せします。』

そう言うとちょっと考えながら

『じゃあたこ焼き買おうかな。』

と笑いながら言った。



わたしは車に乗ったときくらいからずっと緊張しっぱなしだったけど、その笑顔にまたやられそうになった。

緊張のドキドキと笑顔にやられてパンクするのではないかと思ったのは初めて。

だって・・・憧れの人なんだもん!!!


たこ焼きの8個入りを買って会場の川辺まで歩いた。

川は大きいけどその岸を埋め尽くすほどの人でいっぱいだった。

『すごい人ですねー!!』

ビックリしてわたしが言うと原口さんも歩きながら

『ほんとだね。あっちならまだあいてそうだからあっち行こうか。』

そう言って奥のほうまで歩き、あいていた川岸の芝生にわたしたちは座った。

座ったときはまだ奥はあいていたのに、10分もするとあいていたところは人だらけになった。

9時打ち上げで今が8時半。

原口さんはたこ焼きを開け、1個食べた後、あと1つの爪楊枝をたこ焼きに刺し、わたしの前に出して

『結構おいしいよ、食べなよ。』

と言ってくれた。


大きなたこ焼きがおいしそう。

わたしはありがたくいただいた。
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