愛のかたち
わたしたちはずっと水中をウロウロしたり、わたしと友美が浮き輪の中に入ったままで、恵介くんがわたしの浮き輪に捕まり、俊くんが友美の浮き輪に捕まり、バタ足でどっちが早く目的地まで辿り着くか競争したりして遊んだ。

ほとんど裸同然でわたしは恵介くんと密着していたがドキドキなんて微塵もしなかった。

原口さんとは歩くだけでもドキドキしたのにこの違いに少しウケた。


でも俊くんとだったんならしたのだろうな。



途中でわたしと友美は疲れたので海岸にあがった。

2人はやっと手に入れた浮き輪でぷかぷかと遊んでいた。



『恵介くん、わたしの近くに来ないし・・。どうも思ってないんだろうね。メールとかも全部わたしから入れないと来ないし・・。』



わたしが恵介くんや俊くんとメールするときは全部向こうからきたときだった。

友美もそうだと思ってたのでこの話を聞いたときは驚いた。

そして絶対ことことは言わないでおこうと思った。


『やっぱりダメかな・・。』

苦笑いしながら友美が言った。

『わかんないよ。やってみなきゃ!!』

そう励ましたが友美の表情は暗かった。

でも・・正直ダメじゃないかとは思ってた。



『2人~??』

突然男の声がした。

ナンパだった。

ここは人気のあるビーチ。

女2人で座っているわたしたちはナンパ待ちだと思われたのだろう。

わたしも友美も無視していたら男3人がわたしたちの前に座った。

『ちょっと、2人ともまじかわいいし!!!何してんの!?ちょっと話そうよ。』

馴れ慣れしく話しかけてくる。

『友達と来てるから。男の子。』

友美が強い口調で冷たい表情をしながら言った。


偉い!よく言った。


そう思ってると目の前の男が足元の砂で山を作りながら

『いいじゃん、そいつらが来るまででも。ちょ、番号教えてよ。2人はどこから来てるの?』

全然引く様子はなかった。
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