愛のかたち
『うん、だから濡らそうと思って。』

意味のわからない回答をして海に行くということを遠まわしに告げた。

すると俊くんは友美たちの方へ走って行った。

わたしは構わず海の中に入って腰くらいの水位のところで1人ポツンと考え事をした。


やばい、ほんとにビビった!!

まじかっこいい!!

てか、あの人だ、錦戸亮だっけ?

似てる!!

どうしよう、今日ずっとこんな調子が続くのかな・・



そんなことを考えていたらいきなり頭から浮き輪をかぶった。

浮き輪はスルリとわたしの体を通って水面にパシャッという音をたてて落ちた。

後ろを見るとまた俊くんがいた。

『さっきは一緒に泳がなかったから次は一緒に泳ごう。』

そう言って浮き輪を押してきた。

わたしはまた心臓の鼓動が早くなってきていることに気付いた。

やっぱり俊くんだったらドキドキしちゃうんだ。

あんな冷たい態度取られたり、好きな人いるって知ったのに。



『さっきは、ありがと。』

今更だけどさっきのお礼を言った。

『咲貴ちゃん、だめだよ。自覚しなきゃ。咲貴ちゃんね、このビーチで1番目立ってると思うよ。』

この言葉にわたしは意味がわからなかった。



何が?水着?そんな派手?確かにゴールドついてるけど・・



『え?水着?』

わたしは聞いてみた。

『いやいや━━…。あの咲貴ちゃん綺麗じゃん?だからみんな振り返って見てるって気付いてる??』

わたしはそういう意味だとは全く思わなかった。

『気付いてない━…。てか嘘だ!!』

『この前の祭だって咲貴ちゃんが綺麗だから目立ってて俺ら気付いたんだけど。』

自覚しろといってもそんな自惚れ的なこと自覚することはわたしにはできなかった。

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