愛のかたち
『そんなこと━…』

『あるよ。だから気をつけてね?』

俊くんがわたしの言葉を遮って言った。

わたしはしょうがなくコクンと頷いた。


そう言われて周りを見ると何人かの男と目が合った。

改めてわたしは俊くんの言ったことが全くの嘘ではないということに気付いた。



『俺さ、いとこのこと好きだって言ったじゃん?』

恵介くんの口から聞いたのだがわたしは相槌を打って聞いた。

『諦めた。』

そう言って俊くんも浮き輪にしがみついた。

ここは俊くんも足がつかない深いところなんだと思ったがそれよりも諦めたの言葉の方が気になった。

『なんで??』

理由なんて言いたくなかったかなと思ったけど一応流れとして聞いてみた。



『ふられたから。そして3日後くらいに彼氏作ってんの。諦めるしかないっしょ。』



わたしは言葉をかけなきゃと思いながらもそっか。という言葉しか出てこなかった。



『咲貴ちゃんはいいね。下手に慰められるよりそっけないほうがいいや。』

俊くんはそう言って足を動かし、浮き輪をもっと沖へと進めた。
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