愛のかたち
暫くしてたいぶ見えなくなったと思うと他の人々が帰り始めた。



『俺らも行こうか。』

そう原口さんが言って塔の出口に向かった。


塔を降りるときは急な階段で、ヒールで来ていたわたしにはちょっと怖かったのでゆっくりと降りた。

そんなわたしにすぐに気付いて、原口さんは手を取ってくれた。


『危ないから気をつけて。』

と言いながら。

この気遣いにちょっとドキッとしたけど、わたしは悟られないように平然を保ち、原口さんの手を握って下に降りた。

車まで向かうときに、手を離していいものか迷ったけど、原口さんが離す気配がなかったのでわたしもそのままにしておいた。



車に乗ると、わたしは原口さんの方をみて興奮しながら今日の感想を言った。


『わたし初めて流れ星ってのを見ました!!てか・・流星だから流れ星で合ってますよね??ほんっと感動しました。ありがとうございます、連れて来てくれて。』


原口さんも喜んでくれてよかった。と言っていた。


そしてわたしたちは帰ることにした。

あと少しで着くというころ、

『新垣ちゃん、こんなこと言うのもなんだけど・・、俺は新垣ちゃんを悲しませたりとか、辛いと思わせたりとか絶対しないから。楽しいってずっと思わせる自信があるから。まじ・・好きなんだ。』


原口さんは最後はすっごい照れながら言った。

わたしも絶対顔が真っ赤だったと思う。


『ちゃんと、考えます。ほんとありがとうございます。』

そう答えた。

あぁーーーー!!どうしよう・・・。



バイト先に着いたのでわたしは車から降りてお礼を言った。

ドアを閉めようとしていたそのとき、目が合ってしまった。

沢村さんと。


沢村さんは、駐車場に歩いてきている途中だったので見られてしまった。

別にやましいことはないんだけど顔つきが近くなるにつれて見えるのでその顔を近くになったとき見てみるとすっごい形相でわたしを睨んでいた。
< 85 / 386 >

この作品をシェア

pagetop