愛のかたち
『ごめん、まだ悩んでて。』

原口さんと俊くんで悩んでいるということは伏せておいているが言った。

『そっか。いいよ、ゆっくり。待ってる。てかメールくらい返そうよ!俺、フラれたのかと思ってたし!!』

また俊くんは笑いながら言った。

『うん、返事する。ごめん。じゃまた。』

『うん、また。』

そう言って電話を切った。



切ったとき、わたしは大きなため息をついた。


決められない、決めるなんてできない。

わたしにはもったいないような2人だもん。


わたしは気がおかしくなったかのように回していた扇風機に向かって『あー』と言っていた。

自分の変わる声を聞きながら色々と考えていた。



そんなときドアをコンコンとたたく音がしてドアが開いた。

知香ちゃんだった。

『咲貴ー、明日バイト何時からなのー?お昼・・あんたなんて顔してんの??てか暑っ!!クーラーつけなよ!!!』



知香ちゃんはわたしの顔の様子でなにかあったということを気付いてくれた。

クーラーのスイッチを入れながら、なんでもないとは言ったが、知香ちゃんは納得してくれなくて話せというので最初から全て話した。

話せと言ったときの知香ちゃんの顔は・・まるで鬼だったから半分脅されて話したようなもんだけどね。

内容はもちろん俊くんのこと、原口さんのこと。



『咲貴のこと大切にしてくれる方じゃなきゃだめだよ。咲貴は絶対に1番でいなさい。フラフラするような人はだめ。誰にでも優しい人もだめ。特別な存在にしてくれる人にしなきゃだめだよ。』


知香ちゃんは切なそうに言った。

知香ちゃんはきっと不倫なんてしていることに後悔しているんだと思った。

でも別れてないところを見ると2番でもそれでも好きでそして辛いのだと感じた。


『うん、そうする。ありがとう、知香ちゃん。』

わたしはそう言ったら知香ちゃんはニコッと笑って部屋を出て行った。

あ、そういえば何の用だったんだろう??


聞こうと思ったけど明日は夕方からバイトだからまた変な用事に使われるのを恐れて聞くのはやめた。
< 88 / 386 >

この作品をシェア

pagetop