新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
それから、比較的穏やかな日常が綴られたページがしばらく続く。

様相を変えてくるのは、翌年……私が、社会人5年目に突入した年からだ。



【2016年8月27日(土)

まだ顔が熱い。気持ちを落ちつかせるためにも、ついさっき帰宅したばかりだけど今この日記を書いている。
今日は、同期の何人かと河川敷の花火大会に行ってきた。
初めて行ったけど、思っていた以上に盛大で、とても綺麗で楽しかった。
でも正直花火の感想より、私の記憶に残ってるのは越智くんのこと。
花火が始まる前にみんなとはぐれちゃったとき、越智くんが私のことを見つけてくれた。
名前で呼ばれて、手も、繋いじゃった。
名前呼びもびっくりしたけど、男の人と手を繋ぐなんて久しぶりすぎて心臓バクバクだった。越智くんの手、ちょっと冷たくて大きかった。
あのドキドキは吊り橋効果のせいだったのかなって改めて考えてみるけど、それだけじゃない気もする。
思い返せば今までも、越智くんに対してドキッとしてしまうことは何回もあった。
私は、越智くんのことが好きなのかな。
でも、どうしよう。越智くんは、好きになってはいけない人だ。
越智くんに結婚願望がないことは前に聞いた。なら、この恋に未来はない。
恋愛のゴールが必ずしも結婚だとは思わないけど、でも越智くんは、そもそも人が持つ恋愛感情を信用していないんだと思う。
どうせいつか消えてなくなるものだと思われるなら、たとえ気持ちを伝えたって、こんなに虚しいことはない。
越智くんを好きになっても、悲しいだけだ。】
< 158 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop