新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
【2017年3月24日(金)

本店営業部への異動の内示が出た。
どうしよう。うれしい。本店は絶対忙しいし業務も複雑だと思うけど、それでもうれしい。
だって、越智くんと同じ建物で働けるんだ。普段いる階は違うけど、偶然会うことだってあるはず。
まずは挨拶と仕事の引き継ぎに行かなきゃ。早く来週にならないかな。引き継ぎ、私は誰とやることになるんだろう。】



【2017年4月6日(木)

今日は本店に異動してから初めて、会社で越智くんと会った。
やっぱりかっこいい。スーツ姿を見るのは久しぶりだった。
会ったのは自販機の前だったけど、私が買おうとしてたお茶をめちゃくちゃナチュラルに奢ってくれた。好き。
でももしその気持ちを伝えたら、きっともうこんなふうにどうでもいい雑談をしたり、笑ってくれることもなくなっちゃうんだろうな。
やっぱり私は、誰にも知られないように想っているしかない。】



【2017年6月11日(日)

昨日のこと。やってしまった。自己嫌悪。
それはひとまず置いておいて、昨日は待ちに待ったほのかと菊池くんの結婚式だった。
本当に素敵なお式で、まずチャペルでほのかがお父様と一緒にドアの向こうから登場した時点で号泣してしまった。
そのあとの披露宴も気づけば事あるごとにボロボロ泣いてたし、今思い出しても泣けてくる。
友人代表スピーチ、緊張したけどなんとかうまくできてよかったな。まさか、菊池くん側のご親戚の方にわざわざテーブルまで来て褒めてもらえるとは思わなかったけど。
二次会も楽しかった。学生時代の友達と会社の同期たちが一緒にワイワイしてる光景、見ていてなんだか不思議だったな。
問題はこのあとだ。駅に向かって歩こうとしたら、偶然越智くんとも一緒になった。
ふたりきりで並んで歩くのに緊張して余計お酒が回ったのか、するつもりもなかった話をしてしまった。
「叶わない恋をしている」とか、「一生結婚できない」とか。越智くんも、まったく興味のないことを聞かされて反応に困っていたはずだ。
なんで、よりによって越智くん本人に……時間を巻き戻したい。
今日はもう夕方だけど、二次会のあとのダメージが大きすぎて何もできなかった。だけどとりあえず、食材だけは買い出しに行かなくちゃ。
越智くん、都合良くあのときのこと忘れちゃったりしないかな。そんなマンガみたいなこと、無理だよなあ……。】
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