新妻ですが、離婚を所望いたします～御曹司との甘くて淫らな新婚生活～

【2018年6月5日(火)

うれしい。新しい職場が決まった。
今日、ひとりで散歩しているときに見つけた小さなカフェ。
コーヒーの味もお店の雰囲気も好みすぎて、つい勢いのまま「ここで働かせて欲しい」と店長さんに頼み込んでしまった。
けど、まさかその場ですぐにＯＫをもらえるとは思わなかった。私も大概思いきりがいいけど、店長の古都音さんはかなり豪快な人みたいだ。
皐月くんも、報告したらよろこんでくれた。初めて行ったお店で勢いで決めてきたことは、ちょっと危なっかしいって言われちゃったけど。
働くのは来週から。今からワクワクドキドキだ。】



【2018年8月25日(土)

そろそろ花火も、最後のスターマインに差しかかる頃だろうか。
今日はあの河川敷の花火大会。でも、結局皐月くんを誘えなかった。
私は今日も仕事だったけれど、終わったあとでも行けないわけじゃない。なのに、勇気がなくて言い出せなかった。
いくら私たちが見せかけの夫婦でも、一緒に花火大会に行くのは変なことじゃない。友人として、誘えればよかったのに。
だけど、迷惑がられたらと思うと、言えなかった。
こっそり浴衣も用意していたけれど、着られなくて残念。
来年は……一緒に見られるかなあ。】



【2019年1月13日(日)

私の28歳の誕生日。今日が日曜日で本当によかった。
１日いっぱい皐月くんと出かけて、ずっと一緒に過ごすことができた。
皐月くんはディナーで素敵なレストランを予約してくれていて、プレゼントに誕生石のガーネットがついたピアスをくれた。
本当にうれしい。宝物。
ガーネットには『変わらない愛情を誓う』という意味があること、きっと皐月くんは知らないんだろうな。
だけど、『友愛』っていう石言葉もあるんだっけ。このピアスに込められているとすれは、きっとそっちの意味だ。
この結婚を後悔なんてしてない。だって私は、皐月くんの１番近くに置いてもらえている。
それだけで満足しなきゃいけないとわかっているのに、少し前からの私は、どんどん欲張りになってきている気がする。
変わらない愛情なんてなくたって、私は皐月くんの妻。
これ以上望んだら、バチが当たってしまう。】