新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
【2018年5月4日(金)

今日は越智くんの31歳の誕生日。そして今年から、私たちの結婚記念日にもなった。
役所に行ったのはやっぱり緊張したけれど、たった1枚の薄い紙に名前を書いて提出するだけで夫婦になれるんだから、結婚というのは案外お手軽なものだ。
明日このアパートを出て、新しいマンションで越智くんとの生活が始まる。
うまくやれるだろうか。希望よりも、不安ばかりが胸を膨らませる。
だけど、自分で決めたことだ。普通の結婚とは違っても、旦那さんになるのは私の大好きな人。これ以上、幸福なことなんてない。
ディナーのときにプレゼントしたキーケース、よろこんでもらえてよかった。
越智くんは思うところがあるみたいだけど、やっぱり私は、越智くんを産んで育ててくれたお義父さんとお義母さんたちにありがとうと言いたい。
出会えてよかった。誕生日おめでとう、越智くん。】



【2018年5月6日(日)

なんとか部屋がそれなりになった。昨日はとりあえず寝られるようにしただけだったけど、まさか持ってきたカーテンの長さが足りないとは思わなかったなあ。
越智くんに、「もう夫婦なんだから今後はお互い名前で呼び合おう」と言われた。
皐月くん。皐月くん。皐月くん。
文字では書けるのに、直接呼ぶのはまだまだ慣れそうもない。
呼び方だけじゃなく、越智くんのそばにいるといちいちドキドキしちゃうのも、早くなんとかしなくちゃ。
あ、違った、皐月くん。……やっぱり、日記の中でも照れくさいな。
今日、皐月くんと一緒に買いに行って見つけたカーテンが、すごく私好みでうれしい。もうすでにとてもお気に入りだ。
たとえ皐月くんに愛されることはなくたって、こうして他の小さな幸せを積み重ねていけば、きっと大丈夫。】
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