新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
このカフェに来るお客さんはこんな彼女の性格をわかっているうえで通ってくれているのだけど、それでもこの自由さはいかがなものか。

ああ、でも、カップルのお客さんもこっち見て笑ってる……。

これ、やっぱりネコに見えない? 私としては、わりと上手く描けた方だと思ったのに。

むむっと眉間にシワを寄せて、自分が描いたネコちゃんとにらめっこする。我ながら、結構かわいいと思うんだけど……。

昔から私は、何かイラストを描くたびに周りの人からこんな反応をされがちだ。

『味がある』とか『クセが強い』なんてセリフは、もうすっかり言われ慣れてしまっている。解せない……。



「いやー、記憶喪失にはなっても、礼ちゃんの画伯っぷりは健在で本当にうれしいわ。礼ちゃんって黙ってると見た目はクールな印象なのに、中身はほんとかわいいよねぇ」

「褒められてる気がしません」



多少わざと不機嫌な表情と声音で返せば、店長がまた楽しそうに笑った。

その笑い声がなんとか落ちついた頃、職場の上司の顔に戻って口を開く。



「礼ちゃん、お客さん捌けてきたしそろそろ帰る準備しちゃっていいよー」

「あ、はい。ありがとうございます」



病み上がりということも考慮して、店長は閉店時間よりも早めに私のことを帰してくれている。

まあ、記憶を失う以前からも、店があまり忙しくない日なんかは早く退勤させてくれていたみたいなんだけど。

場合によっては時間外の対応もするけれど、このCafe fluffyの営業時間は基本的に朝の9時から18時。

定休日は毎週日曜と水曜、それから毎月第3月曜日なので、土日祝日休みの皐月くんと確実に休日が被るのは日曜日のみだ。

とはいえ、かなーりゆるい性格の古都音店長は思いつきで美味しいコーヒー豆探しの旅に出ることなどもあるそうで、突然しばらくお店を休業する場合もある……らしい。
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