可愛がりたい、溺愛したい。



中学の頃は言いたい放題いろいろ言われていた。


それでも依生くんには何も言わず、我慢していたけれど。


ある時、わたしが体育館の倉庫に閉じ込められてしまって。もちろん、これも依生くんを好きな女の子たちの仕業なわけで。


すぐに依生くんが助けに来てくれて、それから依生くんの部屋に連れていかれて、抱きしめられて。



『……なんで僕に何も言わなかったの?』



その時の依生くんの声は震えていた。
怒りを抑えるように……。



言いたくても言えなくて。
依生くんに心配かけたくないし、巻き込みたくなかったから。


『帆乃は僕にとって大切な子なんだよ。
誰にも傷つけられたくないんだよ、わかる?』



"大切な子"


それはきっと幼なじみとしてなわけで。



物心ついた頃から、ずっとずっと依生くんを好きだという気持ちがあったわたしからしてみれば、幼なじみなんてやめてやりたいって。

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