可愛がりたい、溺愛したい。

明日香ちゃんはわたしが依生くんを好きなことを唯一知っていて、過去にわたしが告白したことも知っている。



「おかしいよねぇ、あれだけ帆乃ちゃんは僕のとか言ってるのにさ〜」


唇を尖らせて不満そうな顔をしている明日香ちゃん。


「ほんとーに、ほんとーにちゃんと好きって伝えたの？」


「うん、たぶん……」



まだ中学3年の時。



この頃はまだ今みたいに地味な格好はしていなかった。



自分のことが可愛いなんて思ったことはないし、特別何かしてるわけでもなく凡人くらいだと思って過ごしていた。



だけど、女の子の嫉妬っていうものは自分に自覚がなくても買ってしまうもので。


幼なじみとして依生くんのそばにいるわたしを気に入らない女の子がたくさんいて。


可愛いからって調子に乗るなとか言われたり。


あんたなんか依生くんと釣り合ってないとか。


幼なじみだから特別なんだとか。