好きになるには理由があります
 なんだかめでたいような数だな。

 いや、煩悩の数か。

 っていうか、それ、恨まれても神様もお医者様も困るのでは。

 世界記録を樹立するつもりか、とは思ったが。

 それだけ、ひいおばあちゃんのことが今でも好きなんだろうな、と思うと、なんだか、微笑ましくもある。

 普段は強引でちょっと困った人だけど、と思いながら、陽太を見つめていると、陽太がこちらを見て、笑った。

 ……な、なに、微笑んでるんですか。

 ちょっと優しげではないですか。

 いやいやいや。
 騙されませんよ、と思いながら、深月は顔が赤くならないように気をつけつつ、
「……なに笑ってるんですか」
と問う。

 いや、どうにも気をつけられてはいなかったと思うが……。

 すると、陽太は、
「いや、お前が俺を見て微笑んでたからだ」
と言ってきた。

 いやいやいやっ。
 そんなことないですっ。

 いや、ほんとにっ、と思いながら、深月は自分の座る冷たいパイプ椅子の両端を握りしめ、俯いた。




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