好きになるには理由があります
「まあ、ともかく、そんなこんなで俺は、ひいばあちゃんっ子だったんだが。

 ある日、目の前でひいばあちゃんが倒れて。

 俺は学校から帰ったら、いつも、おかえりって言ってくれるひいばあちゃんの笑顔がなくなることが怖くて。

 子どもだったから、必死に神様に祈ったけど、神様は助けてくれなかったぞ」

「……そうだったんですか。
 そんなことが」

 必死に祈るちっちゃな支社長を思うとなんだか悲しくなってくるな、と思う深月の前で、また神楽を見ながら、陽太が言ってくる。

「もう二十年。
 いや、俺が嫁を迎えて、子どもの顔を見せるまでは生きてて欲しかったな。

 ……そういえば、俺は医者にも怒っている」
と陽太は言い出した。

「大往生でしたね、とか言いやがって。
 なにが大往生だ。

 松浦先生は、残念だったね、と言ってくれたけど」

 はは、と深月は苦笑いした。

 そうか。
 それで松浦先生と知り合いだったんだな、と思う。

 まあ、他人から見たら、大往生だと思われる人間でも、家族にとっては早すぎるってことあるよな、と思いながら、

「ひいおばあさま、おいくつだったんですか?」
と訊いたら、

「百八だ」
と陽太は言ってきた。

 ……百八。
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