好きになるには理由があります
 なんとなく早足になりながら、エレベーターホールに着いた。

 すぐにエレベーターは来たが、乗る人間が他におらず、結局、二人きりで乗るはめになる。

 まあ、黙ってればすぐ着くか、と思ったのだが、杵崎の方から話しかけてきた。

「支社長はお前を秘書にしようとしているようだが、俺は反対だ」

 ええ、私も反対です、と深月が思っていると、
「あれのせいか」
と杵崎は言ってくる。

「……あれ?」

「支社長が祭りの舞がどうとか言っていたが。
 そのせいで、最近、支社長はお前とベッタリなのか?」

「いえあの、支社長はまだ舞ってくれるかどうかわからないんですけど――」
と深月が言いかけたとき、

「じゃあ、俺が支社長の代わりに舞ってやろう」
と杵崎が言い出した。

「え」
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