好きになるには理由があります
 


「あの~、頼んでおいてなんなんですけど。
 舞うことになって、大丈夫ですか?」

 帰り道、深月は陽太にそう訊いてみた。

 なんだかんだで忙しいのに、大丈夫だろうかと不安になったのだ。

「大丈夫だ。
 会社的にも地域とのつながりを見せることはイメージアップにつながるしな」

 でも、そういう理由でなら、支社長自ら舞う必要はないような……、と思ったとき、陽太が言ってきた。

「心配するな。
 やると決めたからにはちゃんとやるが、無理はしない。

 そんな顔をするな。
 お前のせいじゃない。

 俺は会社の利益とお前の愛、どちらも得たいという、ただの打算でやるだけだから」

 そう陽太は言っていたが、やはり、ちょっと心配で。

 月曜日。

 深月は頼まれもしないのに、今度はコピー機のトナーを持って陽太の許へと向かった。
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