好きになるには理由があります



「一度はそういう関係だったときもあるけど。
 お互い、あんまり好みじゃなかったのよね~」

 サラダがメインの定食を食べながら由紀が語り出し。

 深月は少々混乱をきたしながら、その言葉を聞いていた。

 好みじゃなかったのに、何故、そういう関係に!?

 わからないっ、と思う深月の横で、杵崎は顎に手をやり、うーん、と軽く唸ったあとで言ってきた。

「まあ、好みじゃないからこそ、チャレンジしてみたというか。

 俺の場合、好みに従って行動すると、フラれたり騙されたり、ロクな結果にならないから、新しい世界を覗いてみる必要があるなと思ったっていうか」

 ……杵崎さんは駄目女が好きなのでしょうか。

 ということは、金子さんは駄目女じゃなかったってことで、逆によかったのでは、
と深月が思っていると、いきなり、由紀が、

「そういえば、実は、一宮、あんたの好みじゃない?」
と杵崎に向かい、言い出した。

 あの~。
 私、今、杵崎さんの好みは、駄目女、という結論に達したばかりなのですが、
と思う深月の前で、杵崎は、

「いや、こいつは俺の好みじゃない」
と言い切る。
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