好きになるには理由があります
「やだもうっ。
 なんで、こっち来んのよ。

 一宮の方が二個も椅子余ってるじゃないのよ。
 あっち行きなさいよ」

「なんだよ。
 別にいいだろ」
と言ったが、

「だって、あんたと私が並んで座ってると、いろいろと勘ぐる奴が居るからよ」
と由紀は主張する。

 事情を知る純が苦笑いし、深月が、おや? という顔でこちらを見ていた。

 ああ、と由紀が深月の表情に気づき、自分を手で示して軽く言った。

「前、ちょっと付き合ってたの」

 深月は、ええっ? と驚いたあとで、こちらを振り返り、
「でも、金子さん、巫女さんじゃないですよね?」
と言ってくる。

 純が、は? という顔をし、自分は、
「だから、騙されてはいない……」
と小さく答えた。





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