好きになるには理由があります



 意外だな、杵崎さんが身長を気にしていたとは――。

 いや、確かに支社長ほど大きくはないが、大抵の女性よりは大きいと思うんだが、と思いながら、深月が仕事をしていると、

「なによ。
 まだ、総務に居るじゃない」
という声がカウンターからした。

 振り返ると、また来た膝乗りハンターさんがつまらなさそうに、こちらを見ている。

 深月は、
「いや……、居ちゃいけないんですか」
と言いながら、彼女が持ってきた備品伝票を受け取った。

「だって、あんたがいつまでも異動しないから。
 忙しいのに、どうなったのか気になって、ついつい用事を作って、此処に来ちゃうじゃないのよ」

 ……まるで、恋のようですね。

「やり手だと評判の支社長が、自分の愛人を秘書にしようとしてるっていう面白いネタをせっかく、つかんだのに。

 いつ、私はこのネタをみんなに披露できるのよっ」

「フライングして、広めてみたらどうですか?」
と言いながら、深月は伝票を見る。

 この人の名前、わからないかな、と思ったのだが、企画事業部としか書いていない。
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