好きになるには理由があります
「あー、素晴らしい朝食でした。
支社長はまるで神ですね」
と食べ終えた深月は手を合わせて言う。
「お前の神になるのは簡単だな」
と陽太は紅茶を注いでくれながら笑う。
「お前に触れたら神が怒ると言っていたが。
俺が神になれば、お前は俺のものか」
と不遜なことを言い出した。
ちょっと邪悪な笑顔を浮かべている。
いやいやいや。
そう言う問題じゃないですっ、と慌てて深月は否定した。
「神様より先に、おじいちゃんに怒られますしっ」
と言いながら、この美しい船と美味しい朝食のせいで、今朝のことから現実逃避しかけていた深月は正気に返った。
「そ、そうだ。
会社っ」
と慌てて深月は時計を確認しようとしたがなかった。
「と、時計っ」
と慌てる深月に陽太は、
「船の上では時間を忘れろ」
と言ってくる。
「いやいやいやっ、遅刻しますっ。
っていうか、貴方、腕時計してますよねっ?」
忘れろと言いながら、自分は腕時計を確認しているのだ。