都の剣〜千年越しの初恋〜
「ツキヤ」

サシャは、誰もいないことを確認して、隣に立つツキヤに声をかける。自分の秘密を打ち明けるためだ。

この恋は、全てが違いすぎているのだ。サシャとツキヤの身分も、時間も、過ごしてきた場所もーーー。

いずれ、ツキヤは知ってしまうだろう。この恋は、苦い結末だと決まっている。

「何でしょうか?」

サシャの目を見るツキヤは、優しく微笑む。サシャは覚悟を決め、言った。

「私は実は……××××××××××××」

サシャの秘密に、ツキヤの目が大きく見開かれる。それは、ツキヤが想像している以上に大きな秘密だった。

二人は、禁忌の道を歩んでいるのだ。

「お前は、どうしたい?引き返すなら今だぞ?」

サシャは胸の寂しさを誤魔化すように、笑う。しかし、ツキヤは「いいえ。このままこの関係を続けます」と首を横に振った。その目はとても真剣なものだ。

「そうか…。すまない。お前にもしものことがあれば、私が全てを犠牲にする」

サシャはそう言って空を見上げた。まだ空に大輪はない。
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