都の剣〜千年越しの初恋〜
「あなたに全てを捨てさせなんてしません。私も、全力を尽くします」

ツキヤがサシャを握る手に力を入れ、微笑む。それはいつもツキヤが見せる優しさだけのものではなく、強く固い意志を含んでいた。

「……ありがとう」

サシャはその微笑みを目に焼き付ける。この恋に安心などないはずなのに、ツキヤのそばにいると凪いでいく心がある。

その刹那、夜空に大きな花が咲く。世界は一瞬にして、花火の上がる音と色とりどりの色に包まれる。

その美しい光景を、サシャはツキヤとともに眺めていた。



沙月と葉月は同時に目を覚ます。睡眠の余韻などなく、二人は同時に飛び起きた。一時間ほど二人は眠っていた。

「肝心なサシャの正体が、わからなかったな…」

葉月が頭を抱える。沙月も黙って頷いた。

サシャがツキヤに秘密を話した時、まるで不良品のDVDのようにノイズが入っていて聞き取れなかった。

肝心な情報が掴めなかった悔しさを、葉月は全身で表している。

「でも、これでわかったことがあるよ!」

沙月は明るい口調で葉月の手を握る。葉月の目が、少し穏やかになった。
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