都の剣〜千年越しの初恋〜
「夕方までまだ時間あるな。せっかくだし、観光して行くか?」

電車から降りると、体中を熱気が覆う。早速現れ始めた汗をハンカチで拭きながら、葉月が沙月に言う。

京都ーーーかつてのこの国の首都。数多くの仏教寺院、庭園などがあり、とても歴史を感じる街だ。

「行く!行きたい!」

京都なんて、小学生の時の修学旅行以来だ。沙月の胸は高鳴る。それは、京都に来たというだけでなく、好きな人と一緒にいるというのもあるだろう。

「なら決まりだな」

葉月は、暑いのにわざわざ沙月の白い手を握って歩き出した。



「うわぁ〜!」

目の前に広がる景色に、沙月ははしゃぎながら楽しむ。隣で葉月が珍しく微笑んでいた。

沙月と葉月は、清水寺に来ている。夏の緑が美しい。

「さっきまで真っ青だったのに、もう大丈夫なのか?」

葉月が沙月の顔を覗き込む。無表情にも見えるその目に、心配があることを沙月はよく知っていた。

「うん!平気平気!ちょっとびっくりしちゃっただけ」
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