都の剣〜千年越しの初恋〜
手をつなぎ、抱きしめ合い、唇を重ねる……。一緒にご飯を食べ、町を歩き、些細なことを話す……。

特別なことは、何もない。しかし、サシャはツキヤといる時間が何よりも好きだ。ツキヤはサシャの全てを受け止め、懸命に愛してくれるのだからーーー。

「ツキヤ、愛している」

サシャはそう言いながら、ツキヤにキスをする。甘く、深いキスを…。

大きな月が照らす中、二人は愛し合っていた。体も、心も、全てで。

イザナギがこのことを知ったら、許すはずがないだろう。神と人が結ばれるなどあってはならないことだ。

しかし、ツキヤはサシャの体に触れ、キスを何度も繰り返す。二人を止められる者は誰もいない。

「私も、愛しております。永遠に…」

ツキヤの優しい目に、サシャはツキヤを愛してよかったと心から思った。

しかし、運命というのは残酷なものだ。幸せは永遠には続かない。

「サシャ、話がある」

体を重ねた翌日、琴を弾くサシャにイザナギが話しかけた。その目は娘のサシャも怯えるほど冷たく、琴の美しい音色は一瞬にして消え去る。

「……話とは、何でしょうか?」
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