都の剣〜千年越しの初恋〜
残酷な未来に、サシャは「……嫌だ……」と何度も言いながら泣いた。ツキヤも、鏡に何度も手を伸ばしてサシャの拭えない涙を拭おうとする。その目は、互いの悲しみを写していた。

嘆き悲しむサシャは、その時にあることを思いついた。それは、決して許されない禁忌だ。サシャの存在が消えてしまうかもしれない。

このことをツキヤに話せば、彼は間違いなく止めるだろう。サシャは言いたい気持ちを堪え、鏡を見つめる。

「いつ、転生する?」

サシャの問いに、ツキヤは目をそらしながら言った。

「…三日後です」

サシャは、「わかった」と言って鏡にそっとキスをする。

この愛を、このまま終わらせたくない。そんな強い想いだけが、サシャの心や体を動かしていた。



人が転生を行う場合は、山の中にある井戸に飛び込まなくてはならない。その井戸は、見張られていて自由に転生することはできないようになっている。

転生することを認められた者だけが、井戸の中に飛び込めるのだ。
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