都の剣〜千年越しの初恋〜
サシャは目を閉じ、鏡に唇を近づける。ツキヤも同じように唇を近づけた。

鏡越しに、二人の唇が重なる。冷たい温度に、サシャの胸は切なさであふれた。

「…こんなに愛しているのに届かないなんて!」

サシャの頰にひとすじの涙が伝う。ツキヤは、それを悲しげな目で見つめていた。

あの世の流れる時間は、恐ろしいほど早い。サシャとツキヤは千年も愛し合い続けた。そのほとんどが鏡越しのものだったが、サシャとツキヤの想いは変わらない。

その日も、仕事を終えたサシャはツキヤと話すために鏡を手に取る。

「ツキヤ、こんばんは」

いつものようにサシャが話しかけると、そこにはいつものツキヤはいなかった。

いつもは、優しく微笑んでいるツキヤが今日はどこか悲しげだ。サシャの胸がドクンと音を立てる。

「ツキヤ?」

「サシャ様……」

ツキヤはゆっくりと口を開いた。

「私は、転生しなければならなくなりました」

それは、二人の関係が嫌でも終わりを迎える瞬間を伝えていた。生まれ変われば、前世の記憶はなくなる。次にツキヤがあの世に来ても、もうサシャのことは覚えていないのだ。
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