クール王子ととろける溺甘♡同居
「小山さん」
「えっ、」
不意に名前を呼ばれて思わず顔を上げると、バチっと目が合ってしまった。
慌てて下を向いて晒す。
「な、なんでしょうか」
「いや……俺、なんかした?小山さんに」
部屋を出る寸前のところで立ったままそう聞く須永くん。
彼の足元だけを見ている私に、彼が今どういう表情をしているのかわからない。
ただ、声は穏やかで、不思議と、他の男性に比べて怖いとは感じない。
「すみません。……嫌いなんです、男の人」
もう少し『苦手』とか言い方はあったはずなのに、思わず心の声が出てしまった。
でも、きっとこの方が後々楽だ。
変に濁すよりも、はっきり伝えていた方が、須永くんだって私に不用意に絡んできたりしないだろう。
そもそも、どう見てもモテるタイプの顔つきだ。
チヤホヤしてくれる女子なんてそれこそ星の数だろうし。