クール王子ととろける溺甘♡同居
「へー。そうなんだ」
ドアの縁に背中を軽く預けながらそれだけ呟いた須永くん。
怒っても笑ってもいない、何を思ってるかわからない声色。
こんな女さっさとほっといて出て行ってくれればいいのに、なぜか須永くんはまだここにいる。
「初対面で好きだって言われたことはあるけど、嫌いって言われたのは生まれて初めて」
へ?
一体なの話だ。
突然のモテアピール?
あぁ、だからだよ。
これだから嫌いなんだ。
自信に満ち溢れて、俺にかかればどんな女だって簡単に落ちてくれるなんて思って平気で調子に乗るから。
そう心の中で思いながら、ずっと下を向いていると、目の前の床に影ができて、
クイッと不意に顎が持ち上げられた。
「……っ、」
今日初めて、須永くんとちゃんと目が合って、顔がよく見えた。
サラサラの黒髪に、白い肌、私を捉えて離そうとしない切れ長の黒い瞳。
鼻筋はスッと通っていて、本当にどこから見ても綺麗な顔。
「これからよろしくね。小山さん」
控えめに彼の口が開けられて、そう言った。