クール王子ととろける溺甘♡同居
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さっきの……何?
男子に触られたのなんて、中学のあの時以来だ。
須永くんが部屋を出て行って、腰が抜けたように用意されていたベッドに座りこむ。
すぐに突き放すこともできたはずなのに、あの顔に、瞳に、吸い込まれるように動けなくなっている自分がいた。
そりゃ、整った顔だ。すごく。
でも、それだけじゃない。
あの、ポーカーフェイス。
『魅惑』そんな言葉がぴったりだと思った。
って……。
だからなんなのよ。
自分の容姿を武器にしている感じ、ますます、かっこいい人って嫌いだ。
愛想を振りまかなくても、人が寄って来ちゃうタイプ。
嫌いだってはっきり言ったのに、あんな風に平然と触れてくるんだもん。
ママが帰ってくるまで、この家でやっていけるか不安だ。
でも、行くところなんてほかにないわけで……。
私は渋々、荷物の整理を始めた。