クール王子ととろける溺甘♡同居

「小山、何してんの」

「何って、応急処置だよ!痛いかもだけどちょっと我慢して」

有無を言わせないまま、ペットボトルの蓋を開けて、彼の指に水を流す。

「……っい」

さっきまで憎まれ口を叩いていた二見くんが、水で染みる怪我の痛みに顔を歪める。

こんな顔もするんだなって、内心思ってしまった。

水で汚れを洗い流して、ポケットに入っていたハンカチを指に巻いて止血する。

「よし、とりあえずこれで、先生呼んですぐ下に下り──────」

「なんでだよ」

「え?」

ボソッと呟かれた声に聞き返す。

「小山俺のこと嫌いだよな?だったらなんでこんな──────」

「嫌いだよ。すごく嫌いだし話したくない。だけど目の前で怪我してる人がいたら助けるのが当たり前でしょ。私は二見くんを手当てしてるんじゃない。怪我人を手当てしてるの。それ以上もそれ以下もない。それに、一応保健係だし」

私は早口でそう言ってすぐに先生を呼びに向かう。

「んだよそれ、ずるいだろ」

彼がそう呟いてるとも知らずに。
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