また、いつか
「姫、明日、私は国元に戻ります。
しばらく寂しい思いをさせますが、良い子で待っていてくださいね」
優しくそう言うと、治憲は幸姫の髪を撫でた。
大名である治憲は、参勤交代で1年おきに江戸と国元を行き来しなくてはならない。
江戸の幸姫の側で過ごして1年。
明日にはまた国元に発たなくてはならない。
もう、何度もそんなことを繰り返せば、幼な子のような幸姫にも『国元に戻る』という意味はわかるだろう。
この優しい人に会えなくなってしまう。
そう思っただけで、幸姫の胸は引き裂かれるようにキリキリと痛んだ。
治憲の顔を見上げると、瞳を潤ませ、いやいやと被りを振る。
そのまま治憲に抱きつくと、いやいやをしながら泣き出してしまった。
「姫、私と離れるのは寂しいですか?」
治憲は幸姫の髪に顔を埋めると、彼女の華奢な体をやんわりと抱きしめた。
しばらく寂しい思いをさせますが、良い子で待っていてくださいね」
優しくそう言うと、治憲は幸姫の髪を撫でた。
大名である治憲は、参勤交代で1年おきに江戸と国元を行き来しなくてはならない。
江戸の幸姫の側で過ごして1年。
明日にはまた国元に発たなくてはならない。
もう、何度もそんなことを繰り返せば、幼な子のような幸姫にも『国元に戻る』という意味はわかるだろう。
この優しい人に会えなくなってしまう。
そう思っただけで、幸姫の胸は引き裂かれるようにキリキリと痛んだ。
治憲の顔を見上げると、瞳を潤ませ、いやいやと被りを振る。
そのまま治憲に抱きつくと、いやいやをしながら泣き出してしまった。
「姫、私と離れるのは寂しいですか?」
治憲は幸姫の髪に顔を埋めると、彼女の華奢な体をやんわりと抱きしめた。