焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「恋人に。なりたいって、一度は思ったことはないんですか?」
亜里沙さんの瞳が揺れる。
望んだことがあるはずだ。彼に愛されてみたいと。
彼の唯一になりたいって。
「そういう気持ちを伝えても成宮さんが拒むと思っているから、今の関係におさまってる」
「……あなたに何が分かるの」
「好き、なんですよね。成宮さんのこと」
目を逸らさずに問えば、ぎゅっと手を握り締める。
「決まってるでしょ」
好きよ、と一言。
「好きだけど、樹季に本当の意味で拒否されるのが嫌だから」
今の関係なら成宮さんもそばにいさせてくれる。
優しくしてくれる。