焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「お疲れ様です。瀬戸さんも休憩ですか?」
「ああ。ふたり共飲み会の幹事ありがとな」
「そんな、これくらいやりますよ。ね、琴美」
「もちろん。瀬戸さんも要望があったら何でも言ってください」
「じゃあ、提案があるんだけど。飲み会の場所、あのバーを貸しきるっていうのはどうだ?」
瀬戸さんがいう『あのバー』は、ひとつしかない。
琴美もそれだけの言葉で勘づいたのか、私に意味ありげな視線を向けてくる。
「あそこ雰囲気もいいし酒も文句なしでうまいし。今まで飲み会で行ったことないから新鮮だろ?」
「そういうサービスもしてくれてるって聞いたことはあるので、大丈夫だと思いますけど。一回聞いてみますね」
動揺する気持ちをどうにか抑えて返事をする。
瀬戸さんが後輩に『一緒に飯食いましょうよ』と誘われ離れたテーブルに行った後、琴美が口を開いた。
「あのバーって。和花菜の好きなバーテンダーがいるとこでしょ?」
「そうなんだよね」
「そのお店のこと、瀬戸さんも知ってたんだ?」