焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
瀬戸さんは意味ありげな言葉選びをしてる気がする。
成宮さんに言わなくてもいいのに、ってことまで話しているというか。
でもそれに対して成宮さんが動揺せずにいることの方が、なんだか悔しい。
だから私もやんわり腰を引き寄せる手をどけずに話していると。
「そうだ、和花菜さん。この後の段取りについてお話したいことがあるので、少しいいですか?」
「……はい、なんでしょう?」
瀬戸さんに『ちょっと行ってきます』と声をかけて、成宮さんに着いていくことにする。
一度入ったことのあるバックヤードの、ロッカーがある一番奥まで来たけど。
「成宮さん?ここロッカールームですよね」
「……和花菜」
トン、顔の横に手をつかれる。
どちらかが少しでも動けば唇が触れそうな距離に、息がつまった。
「な、るみやさん」
「さっきの。あれ何」
さっきのって、瀬戸さんのこと?