焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「連日ふたりっきりで会社に残って仕事してただとか、自然とお互いのこと分かるようになっただとか」
低いトーンで瀬戸さんが言った台詞を並べていく。
「あながち間違ってはないというか。でも、成宮さんだって気にしてないようにみえましたけど?」
「それはあの男の前だったからだよ。動揺を見せたくなかった」
「……え、じゃあ本当は動揺、してたんですか?」
「してた。って言ったら?」
「わっ」
やんわり腰を引き寄せられて、密着する。近いどころの話じゃない。
「あいつに。こんなふうにされて」
スッと細められた瞳に、綯い交ぜになった感情が浮かんでいるような気がした。
なんで離れようとしなかったんだ、と嫉妬を滲ませた声で言う。
「だって、な、成宮さんが」
「俺に引き離してほしかった?」
瞬間、一気に顔が熱くなる。
図星だからだ。
「成宮さんのせいですよ、私と瀬戸さんが良い関係を築けている証拠ですねとか言うから」
動揺を一切見せずに完璧な模範解答をする成宮さんを思い出す。
「あの場ではそう答えておくしかないだろ。立場上、客だから」
ツー、と親指で唇をなぞられる。