焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「……ペースがはやすぎますよ」
「いいじゃない。打ち上げなんだから飲めるだけ飲んでも」
ふたりの様子を見ていた人たちが、『美男美女ね、あの2人』『ドラマのワンシーンみたい』『一緒に写真撮ってもらいたいなぁ』と喜々とした声をあげる。
「最近会えてなかったから、寂しかったわ」
「言うほどでもないですよ」
亜里沙さんの相手をしつつも、デザートを配ったりカクテルを作ったりと忙しない。
「ふーん?他に気になる子でもできた?」
あくまで内に秘める感情は表に出さず、可憐な微笑みを崩さずに問う。
「どうしてそうなるんです?ほら。飲むならこっちのカクテルにしてください」
成宮さんは合間に作っていたカクテルを亜里沙さんに持たせる。
「こちらの方が酔いにくいので」
「質問に答える気はないってことなのね」
面白くなさそうに眉を顰め、成宮さんが作ったカクテルを一気に飲み干した。
そして亜里沙さんは少しふらつきながらも別のテーブルへと行き、うちの社員に話しかけている。