焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
気丈に振舞おうとしているけど酔いが見え隠れしているせいで、かえって危うく思えた。
だからだろうか、成宮さんもちらちらと様子を伺っていて。
「ねぇ和花菜、あの人にお水持っていってあげて」
琴美からグラスを渡され、反射的に受け取ってしまう。
彼女にどんな反応をされてしまうのか。
でもあの状態で更に飲んだら困るだろうし。
「亜里沙さん、お水どうぞ」
小声で呼びかけてグラスを渡そうとするけど、首を横に振られた。
「わざとよ。分かるでしょう」
成宮さんが自分を見てくれるから、ってこと?
今日の亜里沙さんは表面上いつも通りに見えるけど、接してみると余裕がないように感じる。
原因はやっぱり、前にふたりで話したことだよね。
「……本当に、ペースには気をつけてください。ここに置いておきますね」
テーブルにグラスを置いて、ひとまず幹事の仕事をする。
琴美とそろそろこの会場ではお開きにしようか、と考えていたとき。
「うそ、イヤリングがない」
亜里沙さんが耳に触れてから周りを見回す。