焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

「ここに来たときは絶対あったのに」

私も、亜里沙さんが華奢なイヤリングをしていたのは見ている。

おそらく会場内を歩き回っていたときに外れてしまったんだろう。

「イヤリング、誰かに踏まれちゃったら大変です。私も一緒に探します」

テーブルの下までしっかり確認していると『どうなさいましたか』と後ろから声が。

「成宮さん。亜里沙さんがイヤリングを落としてしまったみたいで」

「でしたら自分たちで探すので、大丈夫ですよ」

「いえ、一緒に探します。誰かに踏まれたら壊れてしまいますし」

「助かります」

亜里沙さんは酔いが回っているため待機で、2人で談笑している人たちの邪魔にならないように探す。

「ここにもないなぁ」

テーブルの上にも落ちていないか、どこかの隙間に入り込んでいないかと念入りに見ていたら。

「あ、あった。これだ」

成宮さんが私から2つほど離れたテーブルのところでつぶやいた。

「あったんですね、良かったです!」

無事に見つかってよかたっと駆け寄ろうとしたところで、亜里沙さんが成宮さんを抱きしめた。

< 206 / 242 >

この作品をシェア

pagetop