さよなら、Teacher

そう言った恵の体を引き寄せ、ヒロは強く、背骨がきしむほど、彼女の体を抱きしめた。

「オレはメグがいい。歳を気にしているんだろ?歳なんていずれみんな取るんだし、オレは気にしない。
それよりも、オレは今。それにこれからもメグと一緒にいたい。

メグは?オレじゃ不安?でも、別れた男よりはずっとマシだぜ?

オレの事、生徒にしか思えないんだよな、今は。分かってるさ、でも…」



ヒロの言葉に、強い抱擁に、恵の思考は完全に許容量を超えた。欲しかった言葉が波のようにやってきて理性を奪い、頭は真っ白だ。

「ヒロ、とりあえず。

とりあえず、私に時間を頂戴。そう、今だってヒロの事は好きよ。でも、生徒の範疇を超えて男の人として好きかは、わからない。

それに、私、大翔に振られたのも、つい数時間前よ」

それだけ言うのが精一杯。ヒロは明確な答えをもらえず不満そうだが、渋々うなづいた。

そんなヒロに愛おしさを感じて、恵は両手でヒロの頬を包むと、優しく触れるだけのキスをした。挨拶のような、軽いキス。

「大丈夫。また、明後日来るから。
その時はきちんと英語の勉強するから、宿題、やっておいてね」
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