さよなら、Teacher
7.シンデレラの時間
自分のアパートに戻ると、恵はカバンを床に放り投げベッドに倒れこんだ。

アパートは、静けさに包まれている。

怒涛の1日だった。
大翔と未亜。そして、ヒロ。
恵はとっくに気づいていた。自分がヒロに惹かれていること。そうじゃなければ失恋の勢いだとしても、抱かれたりしない。

ー 恵、おまえ田舎臭ぇんだよ。
ー メグは、純粋なんだ。

2人の男が語る恵の印象。
恵は起き上がると、洗面所に向かった。
そこの鏡に映った自分の顔。

大翔に喜んで欲しくて、デートのお金を捻出する為、自分にお金をかける事はほとんどなかった。
洋服もほとんど買わないし、化粧品も買うのは安いものを最小限。あとは試供品と友人が要らないといったものを貰ってしのいでいた。髪だって伸び放題。

これじゃ、フラれても仕方ない、か。
綺麗になりたいな。綺麗になって、大翔を見返してやりたい。

…無理か。
私も、お姉ちゃんみたいに誰が見ても美人に、生まれたかったな。
< 50 / 104 >

この作品をシェア

pagetop