転生令嬢は小食王子のお食事係
　ただこの世界では、足が速い生のお肉を手に入れるのがなかなか難しい。
　なので代替え案として、ハムを使うハムカツなら作れると思ったのだ。
　ハムは保存食として日常的に使うので、食材も揃っているしね。
　ハムをスライスしたら、小麦粉、溶き卵、パン粉を用意する。
　まずはハムの裏表に満遍なく小麦粉をつける。余計な粉は振り落としたら、次に溶き卵にくぐらせる。
　最後にしっかりと全面にパン粉をつけたら揚げる準備万端だ。
　大きめのフライパンに浅く油を入れる。深さにして二センチ程度だろうか。
　ハムカツは薄く火の通りが早い。油もそれほど必要ではないので、揚げるのも比較的楽だ。
　油が温まったところで、衣をつけたハムをそっと入れていく。
　シュワッという音と共に、衣の周りに気泡が沸き起こる。
　油の温度が下がりすぎないように、少し間隔をあけながらハムを入れていく。
　なるべく重ならないように、トングで調整しつつ、あまりいじらずにじっと待つ。
　音が変わったところでひっくり返すと衣がきれいなきつね色になっている。
　裏面もさっと揚げたら、金網を重ねたバットへのせていく。
　ハムの数だけ、この作業を繰り返した。
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